「日本人に区別しにくい音」の代表格と言えばLとRでしょう。母語の音韻体系が出来上かっていない段階の子どもは、LとRを別の音として認識する可能性は大人より高いのかもしれませんが、言葉として使い分けるためには、それぞれの音を持つ言葉の音声と意味とがしっかりと結びつくような経験が必要となります。そのような指導を意識的に多量に行うならば、幼児期にLとRの音声の違いを習得することは可能でしょう。それにしても、LとRを音声情報だけから明確に聞き分けたり発音し分けたりすることが、どこまで必要でしょうか。中学生のときに教師の発話を聞いてそれがLとRどちらかを答える試験問題がありましたが、そのような試験問題を出すこと自体がおかしいのかもしれません。通常のコミュニケーションでは、単語そのものだけではなく、文全体や前後の文脈で意味を判断する場合がほとんどですから、LとRの区別を完全にマスターする必要性は見当たりません。日本語にはない区別の存在を知識として持っておくことは必要でしょうし、マスターして悪いことはありませんが、あまり時間をかけて練習する必要はないはずです。